- 1. 投資指標一覧
- 2. GPI 総潜在収入 Gross Potential Income
- 3. EGI 実効総収入 Effective Gross Income
- 4. OPEX 運営費・オペレーションコスト Operating Expenses
- 5. NOI 営業純利益 Net Operating Income
- 6. FCR 実質利回り Free and Clear Return
- 7. ADS 年間借入金返済額 Annual Debt Service
- 8. CCR 自己資本利益率 Cash on Cash Return =ROE
- 9. CF キャッシュフロー Cash Flow
- 10. ATCF 税引き後キャッシュフロー After-Tax Cash Flow
- 11. K% ローン定数・ローンコンスタント Loan Constant
- 12. レバレッジ判定
- 13. イールドギャップ
- 14. LTV 借入金比率 Loan To Value
- 15. DCR 債務回収比率 Debt Coverage Rate
- 16. BER 損益分岐点 Break Even Rate
- 17. NPV 正味現在価値 Net Present Value
- 18. IRR 内部収益率 Internal Rate of Return
- 19. おわりに
投資指標一覧
不動産投資を行う上で、判断する為の指標がいくつもあります。
これから投資を行おうとする方には聞きなれないものばかりだと思いますので、
ここでは用語と解説をしていきたいと思います。
GPI 総潜在収入 Gross Potential Income
表面収入の事で、空室や滞納による損失がまったくないと仮定した場合の1年間の家賃収入の総額(満室時の賃料)の事で、物件から得られる年間の最大収入額を意味します。
EGI 実効総収入 Effective Gross Income
GPIから、実際に空室が出たことによる損失額(空室損失)、及び入居者はいるけれども、滞納があることによる損失額(未回収損失)を差し引いて、さらに駐車場や自動販売機などの雑収入を足した実際に入ってくる収入の事です。
EGI=GPI-空室損失-未回収損失+雑収入
OPEX 運営費・オペレーションコスト Operating Expenses
収益不動産を維持するための運営費で、固定資産税や都市計画税、賃貸管理の手数料(自主管理の場合不要)、共用部分の定期清掃費や電気・水道料金、消防設備点検に水道設備の点検費、エレベーターがあれば保守点検費用等々です。
NOI 営業純利益 Net Operating Income
純収益という意味で、収入(賃料)から、実際にかかった費用を控除して求める。
NOI=EGI-OPEX
減価償却費のような支出を伴わない費用や支払利息のような金融費用は控除しない。
FCR 実質利回り Free and Clear Return
投資物件の実質の利回りであり、実際の収益力を表します。
FCR=NOI÷物件取得価格
ADS 年間借入金返済額 Annual Debt Service
借り入れた元金と利息の1年間の返済額の事です。
ADS=年間元金返済額+年間利息返済額
金利と借入期間が影響して、金利が高くなればなるほど、借入期間は短い程ADSは上昇します。
融資には、元利均等返済と元金均等返済があり、
一般的に使われているのは、元利均等返済で、毎月の返済額が一定のローンの返済方法となります。
反対に元金均等返済は、毎月の元金部分の返済額が一定の返済となるため、返済開始当初は返済額が多く、終了が近づくにつれ少なくなっていきます。
CCR 自己資本利益率 Cash on Cash Return =ROE
自己資金に対しての利益率を測ることができる。
CCR=利益÷自己資金
また、自己資金の回収率も測ることができます。
自己資金が1000万円、利益が年間200万円の物件の場合、
CCR=200÷1000=20%
となり、自己資金の回収が1年で20%進みます。
ですので、利益がかわらなければ、5年で自己資金を回収できるということがわかります。
CF キャッシュフロー Cash Flow
お金の流れのことをいい、不動産業者によっては算出方法にも違いがあったりします。
正式にいえば、営業純利益からローンの支払い額を引いた後に残った金額が、
BTCF 税引き前キャッシュフロー Before-Tax Cash Flowとなります。
BTCF=NOI-ADS
ATCF 税引き後キャッシュフロー After-Tax Cash Flow
賃料収入や売却による譲渡税等の収入を得たことによって発生する税金を差し引いたものが税引き後キャッシュフローになります。
ATCF=BTCF-TAX
個人の所得税は超過累進課税となりますので、ご年収によって同じ投資をしたとしても結果は変わってきますので、注意が必要です。
K% ローン定数・ローンコンスタント Loan Constant
ローン残高に対する年間返済額の割合です。
K%=ADS÷ローン残高×100
K%はコストになるので、低い程有利な融資が獲得できているということになります。
K%を下げるためには、金利を下げるか、融資期間を延ばすかのどちらかになります。
レバレッジ判定
レバレッジとは、借入によって自己資金や物件の投資利回りが上昇する効果のことです。
レバレッジ=テコの原理を使うと、借入をすることによって、
K%よりFCRが高ければ、レバレッジが効いている事になります。
レバレッジが効いている状態であれば、融資割合をあげればあげるほど、CCRが上昇します。
K%<FCR<CCR レバレッジは正になります。
イールドギャップ
実質の利回りとローン定数の差をいいます。
イールドギャップ=FCR-K%
多くの方が、利回りから金利を引くという間違った解釈をされています。
借入期間が抜けているのです。
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LTV 借入金比率 Loan To Value
不動産価格に対する借入金の割合のことを言います。
LTV=借入額÷不動産価格×100
LTV=100%となると、いわゆるフルローンという事になります。
この数値が低い程、安全度が高いとされる一方で、資産運用効率は下がってしまいます。
DCR 債務回収比率 Debt Coverage Rate
借入金償還余裕率ともいわれるもので、投資物件から得られる純収益を基に、ローンの返済能力、安全性を見る指標となるものです。
DCR=NOI÷ADS
したがって、営業純利益とローン返済額が同じ数字になり、キャッシュフローが出ない状態になると、「1」として算出されます。1を割ってしまうと、収益に占めるローンの割合が高すぎることを意味し、危険な状態となってしまいます。
金融機関の審査のひとつでもある指標になりまして、各金融機関で基準は変わってきますが、「1.2」を超えていれば融資検討できるラインだといわれております。
この数値を上げていくには、営業純利益を上げるか、借入の条件を、金利で有れば下げる、期間であれば延ばすということをすることです。
BER 損益分岐点 Break Even Rate
運営費OPEXと年間借入金返済額ADSを合計した金額である総潜在収入GPIに対する比率で、総潜在収入をカバーする為には幾らまでなら空室率は大丈夫かという分岐点を定める指標でBE%とも呼びます。
この数値はキャッシュフローが黒字になるか赤字になるかの境目となります。
BER=(OPEx+ADS)÷GPI
例えば、OPExが100万、ADSが300万、GPIが600万の部屋数10戸物件だとすると、66.67%となり、10戸の物件なので、一部屋あたり10%になり、年間を通して3部屋が空いていたとしても70%なので黒字になります。年間を通して4部屋以上空き続けていると赤字になるということです。
NPV 正味現在価値 Net Present Value
投資によって得る財の価値(現在価値)から実際の投資額を引いたもの(差額)。
プラスならその分価値が増加し、投資の採算が合うという目安になる。マイナスならその逆。
現在価値に換算した儲けの金額。
時間的価値の概念を取り入れたもので、今の価値に対して将来的な価値はプラスになるのかマイナスになるのかを知ることができます。
NPVは高ければ高いほど収益額が高く、投資対象として有効となります。
関連記事
・『不動産投資における指標「NPV」とは』
IRR 内部収益率 Internal Rate of Return
投資に対する将来のキャッシュフローの現在価値の累計額と投資額の現在価値の累計額が等しくなる場合の割引率のこと。つまり正味現在価値(NPV)がゼロとなる割引率を指します。
IRRは開始時にどれだけの金額がでていくか、運用時に毎年どれだけの金額が入ってくるか、売却時にどれだけ手元に残るかと、始めから終わりまでのすべての要素を反映させることができ、運用期間中における実態の利回りを算出できるのが、IRRの最大のメリットです。
IRRは高ければ高いほど収益性が良く、投資対象としては有効となり、不動産投資だけに限らず、さまざまな他の投資対象を同一の物差しで比べることができるという柔軟性があるのです。
関連記事
・『IRR(内部収益率)を使った不動産投資指標』
おわりに
初めは聞きなれない横文字と計算とで取り掛かりにくく感じてしまうかもしれませんが、使いこなす事ができれば投資判断をする上で非常に役に立つ指標となってきます。
不動産業者の中でも、物件紹介をする上で、単純な数値しか出さない業者もいれば、これらの指標を駆使し、様々な角度から分析し、提案してもらえる業者もあります。
前者の場合、自身でしっかりとシミュレーションをし、判断していかなければなりませんので、その為にも慣れていくことが必要だと思います。
弊社は、
・CPM(不動産経営管理士)
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