不動産投資において、この投資をすべきかどうかという判断をするための指標がたくさんあります。
その中で、今回は「NPV」について、どういった指標なのか、またその使い方はどういったものなのかを見ていきたいと思います。
NPVとは
NPV(Net Present Value:正味現在価値)とは、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標で、投資の意思決定をするために用いられます。
理論的にはNPV=0であれば、その案件に投資をしても利益は出ないということになり、NPVがプラス値であれば投資する価値があると考えられ、案件比較においては、値が大きいほど有利であると考えられます。
PVとは
NPVを理解するために、先ずはPVについて見てみたいと思います。
PV(Present Value:現在価値)とは、投資によって将来獲得が期待される利益の現時点における価値です。
将来受け取ることができるお金を現在の価値に換算するといくらになるか?というものです。
計算式は
PV=将来受け取る金額÷(1+割引率)^n年後 ※^nはn乗
【銀行預金の例】
銀行に預金をし、金利が5%、1年後に100万円を受け取れる場合のPV(現在価値)は、100万円 / (1 + 0.05)^1 = 952,381円となります。
今、952,381円を年利5%で銀行に預けると1年で100万円になるため、1年後の100万円は現在の952,381円と等しいという捉え方ができます。
同じ条件で2年後の100万円を現在価値で計算すると、100万円/(1+0.05)^2=907,029円となります。
※計算結果はいずれも1円未満を四捨五入しています
NPVの計算式
NPV=PV-投資額
NPVは、投資で得られる利益から投資額を引いて求めます。
そして、その結果が0よりNPVの数値が大きいようであれば、その案件は投資するべきだと判断ができます。
また、2つの投資案件があってどちらを選択しようか比べる場合は、NPVが大きい方がおすすめと言えます。
【例】
1億円のマンションを購入して、毎年1,000万円の家賃収入を得て、5年目の終わりに8,000万円で売却したとすると。この際の割引率が5%だった場合は、以下のような計算になります。
{1,000万円÷1.05+1,000万円÷1.05^2+1,000万円÷1.05^3+1,000万円÷1.05^4+(1,000万円+8,000万円)÷1.05^5}-1億円=5,976,860円
※^は乗数を表します(2年目以降は複利計算)。
NPVがプラスとなったので、この物件は投資する価値があるという事がわかります。
NPVのデメリット
NPVのデメリットとして「割引率の設定が難しい」という点が挙げられます。仮に上記の例の割引率を7%に設定した場合はマイナス1,959,131円となり、投資に不向きの物件となります。
このように、割引率が変化することで投資を行うべきかどうかの判断が変わってしまいます。
ではどうすれば良いのか、そこで出てくるのが、「IRR」です。
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)とは、同じく収益性と時間の価値を考慮した指標になりますが、NPVとの違いは、割引率の設定が不要で、投資結果から割引率を逆に求めることができます。
IRRはNPVがゼロになる際の割引率を示します。
投下した資金をどれだけ効率的に回収できるかを判断できるため、投資期間が異なる商品や、投資対象が異なる場合でも、収益率を比較することができます。
まとめ
NPVは将来入ってくるキャッシュフローの現在価値に基づき、個々の投資のリスクあるいはリターンを計ることのできる投資判断指標です。
ただ、適正な割引率の設定は難しく、設定次第で良くも悪くも見えます。
購入を検討している物件のNPVを、妥当と思われる割引率や予想収益に基づいて算出し、投資の是非を判断することには一定の意味はあると思いますが、NPV法は必ずしも万能な手法ではなく、その特性を十分理解しなければ思わぬ失敗を招きかねません。
他の評価指標(IRR)も併用しつつ、NPV法を適切に利用すると良いと思います。
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