この記事は2016年著作の「不動産投資の嘘」をWEB記事化したものです。
木造物件の出口
新築の木造アパートも最近流行しています。木造の新築の出口はおおよそ6年目、7年目ぐらいから市場を見ていって、
10年前後で売却していくのが一番効率がいいでしょう。築10年ぐらいの木造であれば、その価格帯、エリアにもよりますが、融資は受けられると思います。
ただし、解体費が高額なRC物件に比べて、木造であれば解体費も安いので、木造の場合は持ちきって、最終的に土地として出口を見ても、投資として成り立つ可能性が高いでしょう。
例えば、木造の築古アパートを買ったとして、建て直す前提で考えていくというのもありですし、出口の考え方はいろいろあると思います。
これが、木造の戸建て住宅であれば、いろんな出口が取れます。そこでも、解体費用も全部入れ込んで、シミュレーションを行って判断しましょう。
やはり、金額が大きくて壊すのにお金がかかる方が、出口に対しては厳密に見ておかないと痛手が大きくて身動きがとれにくくなります。
万が一、失敗物件を購入してしまったとき、ババ抜きで、ギリギリセーフになるかどうかの判断は、築年数や構造にもよります。また、エリアも結構大事だと思います。なぜかというと、地方だと融資を受ける金融機関が少なくなるからです。
首都圏にあれば、耐用年数を重視せずに融資してくれる金融機関もありますが、地方はなかなか厳しいでしょう。出口としては、その地方の地元に住んでいる投資家が、地元の信用金庫を使って買うというレベルだと思います。当然、確率は非常に低くなります。
首都圏の投資家が地方の金融機関を使うのはかなりハードルが高いのです。お父さんやお母さんの実家があるといった何か関係性がないと、一見さん(初めて取引する人)で、地方の地銀・信金からいきなりアパートローンを融資してもらうというのは非常に難しいと思います。
価格帯も、2000万~3000万円ぐらいまでであれば、現金購入する層もいます。しかし、金額が1億円以上になってくると、現金で買う人がどれだけいるかという確率の問題です。
出口戦略における物件の耐用年数
耐用年数から融資期間を判断する銀行もあります。例えば、RC造の物件では耐用年数は47年。出口をどれぐらいで見るかにもよりますが、次に買う人が最低で20年は組める状態でないと厳しいと思います。そうすると残り、47から20引くと築27年が目安です。出口から見て逆算すると、買う物件が築20年の場合、最低の出口を考えるのが7年後ということになります。7年ぐらいだと、おそらく残債も減っていると思いますし、ある程度採算が合うとは思います。
それが例えば、築25年を購入した場合、この残存20年まで残り2年しかありません。2年後の出口を見て採算が合うかどうか考えなくてはいけません。
買うときの条件にもよりますが、自己資金0、オーバーローンで買った場合などは、2年ではそんなに残債も減っていないと思います。今と同じぐらいの利回りか、それ以下の利回りで売っていかないとなかなか利益が出ませんので、ある程度、市場が上がっていないと難しいのです。
自分が売るということは、次に買う人がいるということ。次に買える人がいるのかというところも見ながら、いろいろシミュレーションしてみるといいと思います。
多くの投資家が出口戦略をきちんと考えていません。これでは、なかなか利益を残しながら資産規模を拡大していくことは難しいのではないでしょうか。
今すぐではなくても、例えば2年刻みで「最低でもここまでで売らなきゃだめだ」とい
うところを確認していきましょう。そこから経済状況を照らし合わせてみて、今売っておいたほうがリスクが少ないと判断するか、もう少し猶予期間があるから、もう少し待とうと判断するか、とにかく常に出口を意識するところが重要だと考えます。
今は売り時かどうか「今は売り時でしょうか」とよく聞かれますが、今が売り時だとは一概に言えません。
もちろん、購入時の条件にもよっても変わってくるものですし、投資家にもよります。そこは投資家自身がCCR、IRRを見て判断すべきです。しっかりシミュレーションをして、結果として資産が増えるのであれば売り時と判断します。
2016年2月にマイナス金利が発表されて風向きが変わりました。いわゆるアパートローン、個人の収益不動産物件に融資するローンは、ここ何年かで見ても、非常に多くなっていると思います。おそらくリーマンショック前のミニバブル時よりも多いでしょう。
考え方としては、収益還元法で出す銀行が増えています。つまり、積算評価だけでは見ないということです。中には投資家を属性では判断しない銀行もあります。世の中には多くの銀行がありますが、その評価方法もさまざまなのです。その全てを把握することは難しいのですが、この部分が出口に直結します。
あとは、経済の状況と融資の状況を重ねて一番良いタイミングを探っていく。結局、それができるのはやはりプロだけです。
それぞれの銀行の状況を把握しながら、出口まで考えていくというのは、投資家のレベルにもよりますが、なかなか難しいと思います。
銀行評価の種類
銀行評価には収益還元評価と積算評価があり、銀行によってどちらを重視するかで変わってきます。本来は積算評価がメインだったのが、最近は収益還元評価も増えており、銀行によっては両方を見るケースもあります