有名投資家と不動産業者の大きな違い
高額なコンサルティング料の有名投資家も、無料で親身にアドバイスしてくれる不動産業者も、根っこの部分では同じです。
不動産業者と有名投資家のもっとも大きな違いは、責任の所在の有無です。
不動産の売買仲介や賃貸仲介といった宅地建物取引業(宅建業)を営もうとする場合、宅地建物取引業法の規定により、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受ける必要があります。その免許のことを略して宅建免許といいます。
宅建業を行っていく上で、もし違法行為があれば厳しい罰則を受けることになります。行政処分には「業務改善のための指示処分」「業務停止処分」「免許取消処分」があります。 また、宅建業者は、事務所ごとに従業員の5人に1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置くよう、法律で義務付けられています。
私の個人的見解で言えば、5人に1人という制度というのは、甘いような気がします。実際には名義貸しも少なからずあるのが現実です。業界自体を良くするためには、もう少し要件を厳しくするべきと考えています。
他にも、法人設立する、事務所には専用入口が必要、業界団体への加盟といった義務が多数あるのです。
当たり前のことですが、仲介業を行って手数料という利益を得る不動産業者は商売として行っています。
一方、有名投資家は、直接の利害関係がなく「公平なスタンスだから信頼できる」と思われるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。コンサルティングを行う不動産投資家の中には、ただアドバイスを行うだけの人もいれば、コンサルタント業として投資相談を受けながら、物件や不動産業者を紹介して、不動産業者や建築会社に紹介料をもらっている人もいます。
そうなると、やっていることは不動産業者と同じです。それでいて、宅建業者のように守るべき法律もなく、その責任を負う義務もないのです。
ただ、これは別に悪いことだとは思いません。本来ならば自分で物件を探す労力と判断力、最低限必要とされる知識を得る努力を一切せずに、丸投げしているのですから当然の手間賃だとも思います。問題は、そういった責任のない人間に対して、数千万、数億円規模の投資を丸投げしていることを自覚していない投資家です。
不動産投資は全てが全てうまくいくとは限りません。後から「騙された!」と騒いでも後の祭り。あくまでも有名投資家に下駄を預けると決めた本人の責任です。だからこそ、投資家自身がきちんとした知識を身に付けることが必要不可欠なのです。
有名投資家はあくまでも投資仲間の一人
有名投資家は先生でもメンター(指導者)でもなく、あくまでも投資仲間として情報を共有できる人です。
利害関係のない大家さん仲間の会はたくさんありますから、互いにモチベーションを高め合える同士として、情報交換できる仲間を増やすのがお薦めです。
その際のポイントは、なるべく自分と同じスタンスの投資家を見つけることです。年齢、属性、資産背景、目標―全てがぴったり当てはまる人は、なかなかいないと思いますが、自身と重なるほど、その人の不動産投資は参考になります。
また、大家さんの会でも、地域を限定した会から、同じ手法を学ぶ会、投資目標を同じくする会などさまざまな会があり、中には偏った投資法のみを推奨する会もあります。初めのうちは、なるべくさまざまな属性の方が集まる会、不動産投資手法についても「〇〇でないといけない」といった決めつけをしないバランスのとれた会を選びましょう。
迷いがあり、どうしても仲間では物足りない。やはり有名投資家や不動産コンサルタントに相談したい、高額な投資クラブに入りたい、といった場合の見極め方ですが、本名やプロフィール、顔写真など、そういったものをきちんと出しているのか、というのは基準になると思います。
法人であれば、事務所の所在地や責任者が把握できますから、それなりに責任を持った形での情報発信を行っているという一つの目安になります。
逆に信用できないのは、〇〇大家さんなどといって、連絡先はおろか顔もわからず、名前も本名かどうかわからない相手です。
そういった方のセミナーやコンサルティングこそ、注意が必要です。どちらにせよ、有名投資家のやり方をそのまま真似しないことが大切です。
一人ひとりの属性と目標が違うため、現実的に真似することは不可能だからです。
自分で情報収集した結果として、同じことをやるというのは有効だと思いますが、信用してすべてを丸投げするのは本当に高リスクです。
最終的には必ず自己判断で行いましょう。