ご家族が亡くなり相続が発生した際の手続きをご説明します。
期日の早いものから記述していきます。
- 病院(事故の場合は警察)死亡診断書もしくが死体検案書をもらう。
死亡後すぐに行います。 - 市区町村役場に死亡届を提出し、火葬許可を申請します。・・・・火葬の時は埋葬許可書を火葬場にてもらいます。
- 故人が勤めていた場合は退職手続きをします。 死亡後できるだけ早く提出しましょう。
- 下記の項目は葬儀終了後、速やかに手続きしましょう
・光熱費など契約変更・・・・・・・・各種業者
・NHKなどの解約及び契約変更・・・・NHK
・クレジットカード解約・・・・・・・クレジットカード会社
・運転免許証・パスポート返納・・・・警察署、パスポートセンター
・年金の受給を停止・・・・・・・・・年金事務所
・固定資産税・住民税請求先を変更・・市区町村役場 - 下記の項目はいずれも14日以内に行いましょう。
・世帯主変更届(市区町村役場)
・健康保険・介護保険の資格喪失届を提出(市区町村役場ですが、被用者保険は勤務先・健康保険組合) - 葬儀が終わり落ち着いたら
・相続人と相続財産の調査をし、遺言書の検認手続きをします。※遺言書の検認手続きとは・・・・
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。提出先は最寄りの家庭裁判所になります。 - 3ヶ月以内に行うこと
・相続放棄・限定承認の申し立てをする。(故人の借金を相続しないようにするタイムリミット) - 4ヶ月以内に行うこと
・所得税の準確定申告をする。
・青色申告を引き継ぐ。 - 生活が落ち着いたら
・遺産分割協議で遺産の分け方を決める。⇨遺産分割協議書(法務局記載例)を作成 - 遺産分割協議書がまとまり次第
・銀行、証券口座の名義変更・解約をする。
・死亡保険金をもらう。
・不動産の名義変更をする。(相続登記)
・自動車などの名義変更をする。 - 10ヶ月以内
・相続税を申告する。 - 1年以内
・遺留分滅殺請求する。(遺留分滅殺請求とは) - 2年以内
・市区町村役場または健康保険組合にて葬祭費・埋葬料などをもらう。
・条件に該当した場合、高額療養費を申請する。高額療養費申請(全国健康保険協会)
・条件に該当した場合、死亡一時金をもらう。(死亡一時金とは)(夫が死亡の場合は寡婦年金との選択になります。)
※必要に応じて復氏届、婚姻関係終了届けを提出する。
各項目に関してご説明します。
1.死亡診断書をもらう
家族が病気で死亡したときは、死亡を確認した医師から死亡診断書をもらいます。事故で死亡したときは警察に連絡して医師から死体検案書をもらいます。死亡診断書も死体検案書も相続の手続き上は同じものです。
死亡診断書は、このあとのさまざまな手続きで必要になるため、死亡がわかった日の当日か次の日にはもらうようにしましょう。市区町村役場に死亡届を提出すると死亡診断書は手元に残りませんので、コピーを取っておくようにしましょう。
2-1.死亡届を提出して火葬許可申請をする
死亡届は死亡がわかった日から7日以内に提出しなければなりません。
提出先は次の3つのいずれかの市区町村役場になります。
- 故人の死亡地
- 故人の本籍地
- 提出する人の住所
続いて火葬の許可を申請します。火葬許可証は遺体を火葬する場合に必要になるため、必ず申請しなければなりません。
2-2.埋葬許可証をもらう
死亡届の提出時にもらった火葬許可証は、火葬のときに火葬場に提出します。
火葬が終われば埋葬許可証をもらえ、埋葬許可証は、遺骨をお墓や納骨堂に納めるときに必要になります。
3.退職手続きをする
故人が会社などに勤めていた場合は、死亡後できるだけ早く勤務先に連絡して退職の手続きをします。
4-1.光熱費などの契約変更・解約
故人が世帯主であった場合は、電気・ガス・水道・固定電話の契約名義を変更します。故人の預金口座が凍結されて自動引き落としができなくなります。引き続き利用する場合は、できるだけ早く手続きをしましょう。
故人が一人暮らしをしていた場合は、速やかに解約の手続きをしましょう。使っていない場合でも基本料金がかかる場合があります。
携帯電話なども忘れずに解約しましょう。
4-2.NHKなどの契約変更・解約
故人が一人暮らしの場合がは、NHK・新聞・インターネット・衛星放送・ネットTVなどを解約しましょう。
家族と暮らしている場合は、契約変更をします。
クレジットカードも本人のみ使用できますので、解約しカードにハサミを入れることを忘れないようにしましょう。
また各種免許、パスポートなどは返納しまししょう。
4-3.年金受給を停止
年金事務所または年金相談センターにて、年金受給権者死亡届を提出して年金受給を停止します。
下記リンクをご参照下さい。
公的年金の支給に関してご説明します。
偶数月の15日に前月と前々月分がまとめて支給されます。死亡した月の分まで年金をもらう権利はもちろんございますが、死亡した時点ではまだもらえてない年金があります。これを未支給年金といい、ご遺族の方が受け取れます。
4-4.固定資産税・住民税の変更
故人に課税されている固定資産税、住民税ですが死亡したとしても納税は免除されません。未払い税金として遺族が支払います。
支払いが遅れると延滞税がかかるため、市区町村役場担当者に確認しましょう。
支払う税金も相続協議でしっかりと計算に入れることをお勧めします。
ここまで死亡後、速やかに行うことをご説明しました。次回は、葬儀後落ち着いてから行うことをご説明します。
葬儀が終わって落ち着いてから行う、遺産相続準備
遺産相続準備の目安としては四十九日法要が終わった頃から遺産相続の準備を始めます。
まずは誰が相続人になって、相続財産がどこにいくらあるかを調べなければなりません。
自筆の遺言書があれば、家庭裁判所で検認が必要になります。
5-1.相続人と財産調査をする。
・相続人が何人いるか調べ、順位も把握する・・・相続関係図参照 ※図1
・相続財産はどのようなものがあるか確認する・・・現金、不動産、生命保険、株式
※ 図1
誰が法定相続人になるかは民法の規定により確定します。
民法では配偶者及び被相続人と血縁深い者を優先的に法廷相続人とするよう規定されています。
上記の図を参考に、一定の法則をご紹介します。
■妻または夫(=配偶者) 常に法定相続人となります
第1順位 子 配偶者とともに常に法定相続人となります
第2順位 父母 被相続人に子がいなかった場合に、配偶者とともに法定相続人となります。
第3順位 兄弟姉妹 被相続人に子も父母もいなかった場合に、配偶者とともに法定相続人となります。
ケース1
被相続人には妻(=配偶者)と子がおり、父母がいる場合
配偶者と子が法定相続人となります。父母は子がいるので法定相続人にはなりません。
ケース2
被相続人には妻はいるが子はおらず、父母と妹がいる場合
配偶者は常に法定相続人となります。被相続人に子がいない場合なので父母は法定相続人になります。なお、妹は父母がいるので法定相続人にはなりません。
ケース3
被相続人には妻はいるが子はおらず、父母も既に亡くなっているが弟がいる場合
配偶者は常に法定相続人となります。被相続人には子も父母もいない場合なので弟が法定相続人になります。
ケース4
被相続人には妻も子もおらず、父と兄がいる場合
被相続人には子、妻がいない場合なので父は法定相続人となります。兄は父がいるので法定相続人にはなりません。
また遺産相続をするには、相続人の人数のほか相続財産がどこにいくらあるかも調査します。前もって調査をする3つの理由。
1.段取り良く遺産相続をするため
2.相続税を正確に申告するため
3.故人の借金を肩代わりしないため
1.あとで相続財産が見つかったときにもう一度手続きをやり直さなければなりません。はじめから相続財産を正確に調べておけば、手続きをスムーズに進めることができます。
2.相続税を正確に申告するためにも相続財産の調査が欠かせません。申告漏れがあれば、税務調査を受けて相続税を追加徴収されるだけでなく、延滞税や過少申告加算税などが課される可能性もあります。
3.このほか、故人の借金を肩代わりしないように借金や債務保証の有無を調べておく必要があります。
借金や債務保証も遺産相続の対象に含まれますので注意がとても必要です。故人の預金、
不動産や借入金についての具体的な調査方法は下記を参照ください。
下記の機関に直越お問い合わせしていただければ調査に必要な書類、手続きの流れを確認出来ますので、それに従い手続きをすれば債務を確認することができます。
※相続人自らが申請(委任も可能)する場合は相続人を証するための戸籍や本人確認書類などが必要です。
相続するか相続放棄するか悩んでいる方は、債務調査の結果をみて判断される場合もあると思います。ですが、各信用情報機関に開示請求をしても、被相続人の全ての債務が判明するわけではありませんので注意をしてください。消費者金融からの借り入れ、クレジットカード、銀行ローンといったものは開示されます。
しかし、滞納家賃・親族や知人からの借金・税金滞納・ヤミ金融といった債務は、開示対象になりませんから、債務調査をしたとしても被相続人の全ての借金等が判明するわけではないという認識はもっていただく必要があります。
5-2.遺言書の検認手続きをします。
故人が遺言書を残していた場合は、遺言書を家庭裁判所に持ち込んで検認手続きをしなければなりません。
検認に関しましては、前述させていただきましたが検認の必要がない遺言書もございます。
検認の必要がない遺言書・・・・
遺言書が公正証書であれば検認の必要はありません。また、2020(令和2)年7月10日からは自筆の遺言書を法務局で保管できる制度が始まりますが、法務局で保管された遺言も検認は不要です。
ここまで葬儀後、落ち着いてから行うことをご説明しました。次回は、相続発生後3ヶ月以内に行うことをご説明します。