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売却の際の融資付け

この記事は2016年著作の「不動産投資の嘘」をWEB記事化したものです。

 

売却の際の融資付け

出口を決める上で大事なのが、次の人が買えるかどうか―すなわち、「ローンが組めるか」ということです。そこで重要な役割を果たすのは、各銀行の融資の方針です。大手都市銀行であれば、耐用年数で見るケースが多いです。

私がご相談を受けている中で「これどうなってしまうのか?」と懸念するパターンは、地方の築古RC物件で耐用年数以上にローンを延ばしているケースです。

まず地方の場合は、「融資可能な銀行がどれくらいあるか」、そして「ローンの年数」を確認します。地方の場合、エリアの広い都市銀行が融資エリア内になりますが都市銀行は155 第6章 出口戦略の嘘 「2020年東京五輪まで土地価格は上がり続ける」は嘘耐用年数引く築年数となり、長期間のローンが組みにくいのです。

現状では融資をつける銀行がありますが、10年後などに出口を迎えようとしてもかなり厳しいのではないかと思います。

融資に積極的な特定の銀行を使った場合、抵当権以内でなければいけません。ある程度残債が減っていなければ、年数が必要となります。つまり、次の購入者のローン期間が取れにくくなるのです。そのため、買主は他の銀行の融資を受けて購入する必要があり、出口のハードルは上がってしまうのです。

誰も買える人がいなければ、当然のことながら売却は難しくなります。このような事実を、買っている当の本人が知らないケースも多く、私との面談で話を聞いて「えっ、そうなんですか!」とショックを受けている人もいます。売れなければ、とりあえず割り切って持ち続けるしかないのですが、最後の出口として「土地」の売却を考えるパターンもあります。

その他、再建築で新築を建てるケース、リノベーション(再生・刷新)の三つのパターンがあります。その場合もリノベーション費用なども計算しましょう。リノベーションとなれば耐用年数は延びませんが、再建築であれば耐用年数がリセットされるので、出口も見えやすくなります。

しかし現在、土地の相場、解体費用も考えたときに、採算が合わないケースも多くあります。都心部は路線価格よりも実勢価格が上ですが、地方では路線価格よりも実勢価格が逆に低く、逆転してしまっている場所が多いのです。

また、最終的な出口に土地を見た場合、RC物件の解体にはそれなりのコストがかかります。運営している間の修繕費用もかかります。規模にもよりますが、外壁塗装と、屋上防水で数百万円、それ以外に諸々、付帯設備なども壊れてきますので修理や交換が必要です。

ここまで考えると、最終的に全然儲かっていない、逆に収支がマイナスになっているケースもあるのです。そうなったときに、不動産投資をやっている意味があるのかという話です。

もちろん購入して何年かはキャッシュフローは出ているのですが、そこのプラス部分が、後の修繕費用や、出口の解体費用でどんどん吸われてしまいます。

中には、土地の相場もあまり良くなくて、結局売るとマイナスになるケースもあります。つまり、フルローンが組めて、何もお金を使わずにキャッシュフローが入るという、それだけで買っている人がいるということです。

逆に言うと、今はそういう物件でも売れる時期です。数年前に買っていた方が今出口を迎えて、当時より値段が上がり、儲かっている人もたくさんいます。購入タイミングが変われば、相場も変わってくるもので、その点からいえば今は絶好の売り時なのです。

 

地方築古RC投資の実例

以前、ご相談いただいたお客様がそうでした。すでに物件2棟を所得されています。この先も買い進めたいという希望があり、属性もよかったのですが、所有しているのが地方にある築古で出口が見えにくい物件でした。高い金利の融資をオーバーローンでひいて購入されています。

目標も高くて「月100万円のキャッシュフローがほしい」という希望をお持ちでした。現状ではそれは厳しいという話をしました。そして、それはなぜかという理由も説明して、出口の話をしたところ絶句されていました。

どうやら別の不動産会社で「早くしないと売れてしまいます」「自己資金なしで買えるなんて、そんな物件めったにないですよ」と煽られて、あまり深く考えずに購入してしまったようです。そのときに相談した先輩投資家からは「買えるんだったら買った方がいいよ」という後押しを受けたそうです。融資戦略や出口なんてことは知らずに、出口が見えない築古物件を購入してしまった失敗事例です。

そもそもオーバーローンで買っているため、購入時よりもかなり価格を上げて売らないといけません。さらに、個人名義なので譲渡税もかかってきます。その部分も、プラマイゼロでいきたいというご意向でした。そうした場合、購入して5
年以内となるため長期譲渡税39%がかかります。その分を賄うには、またそれを上乗せしないといけません。

このような物件を購入されている投資家は多く、「これ、今売れますか?」と問われることもよくあるのですが、購入時と同じ銀行が使えない場合もあります。結局、ローンをつける銀行がないので売れないのです。他を打診して借り入れ可能な銀行があれば、売れないこともありません。しかし、やはり難しいラインではあると思います。

 

不動産譲渡所得税

不動産の譲渡所得税とは、個人が不動産を売却したときの利益にかかる税金で、所有期間によって税率が変わります。法人には譲渡所得税はありません。

短期譲渡

売却した年の1月1日現在で「所有期間5年以下」の場合、所得税と住民税合わせて39%の短期譲渡税がかかります。

 

長期譲渡

売却した年の1月1日現在で「所有期間5年超」の場合、所得税と住民税合わせて20%の長期譲渡税がかかります。

 

こういったお客様からは「では、どうすればいいのですか」と聞かれますが、「もう、割り切って持ち続けましょう」としか、提案のしようがありません。

とある有名投資家は、「大型RCの収益不動産はババ抜きなので、自分は大規模修繕が発生する前に売ってしまう」と言い切っています。それくらい割り切って自覚しているのならいいと思いますが、次に買う方は購入時点で失敗が確定しているようなもので、本当にババ抜き状態だと思います。

昨日、相談に来た投資家も、今はそのババを引いてしまった状態ですが、融資できる銀行があって、もう1回売って、そのババを誰かに引いてもらえれば助かるのです。ここでいうババとはスナップショット―つまり瞬間で見れば魅力的に見える物件ですが、ビデオで見るとあまり儲からないものをいいます。

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