口車に乗って購入すると…
出口の見えない地方の中古RC造マンションでの失敗事例をご紹介します。ご相談にみえたのは、40代のサラリーマンの男性。一部上場企業にお勤めの安定した属性の投資家でした。
すでに物件を2棟所得されており、「この先も買い進めたい!」という強いご希望がありました。所有しているのは地方にある築30年近いRC造マンション。使っている融資は4%台という高金利で、オーバーローンでひいて購入されています。これは典型的な出口が見えにくい物件の買い方といえます。
この方の不動産投資の目標は「月100万円のキャッシュフローがほしい」とのことでしたが、この方の状況では、「とても厳しい」というのが結論でした。
というのも、このような物件の買い方では、新たな融資を組むのが難しく、売却しようにもローンのつきにくい地方の築古物件には買い手がいないからです。
「現状で目標を叶えることは、とても難しい」と正直にお話をさせていただいたところ、愕然とされていました。この物件を販売した会社の言い分は、「早くしないと売れてしまいます」、「自己資金なしで買えるなんて、そんな物件めったにないですよ」とのことで、深く考えることなく、つい購入してしまったようです。
そのときに相談した先輩投資家からは「買えるんだったら買ったほうがいい」という後押しをうけたそうです。融資戦略や出口なんてことは知らずに、出口が見えない築古物件を購入してしまった失敗事例です。
このような物件を購入されている投資家は多くいます。地方で大規模な物件ほど出口は見えません。また、築古物件には修繕が必要なもの。通常の法定点検や建物維持の修繕にくわえて大規模修繕が必要になれば、何千万円という費用がかかることがあります。そこでようやく手放そうと思っても後の祭りなのです。
売却できるとも限らない…
「これ、今売れますか?」と問われることもよくあるのですが、購入時と同じ銀行が使えない場合もあります。結局、ローンを受けられる銀行がないので売れないのです。
他を打診して借入れ可能な銀行があれば、売れないこともありません。
しかし、そう簡単にはいきません。物件の規模や状態にもよりますが、損を覚悟して売るくらいの気持ちが無ければ、売却は難しいのではないかと思います。