金融機関の種類

　不動産投資を始めるにあたって金融機関は欠かせないですが、不動産投資ローンの融資を受けられる銀行は、全国に展開する都市銀行から店舗を構えないネット銀行までさまざまです。それぞれ金利や審査方法が異なるため、ここではそれぞれの特徴をご紹介します。

都市銀行

　都市銀行の特徴としては、属性や担保評価などバランスよく平均点以上を求められますが、最終判断で最も重視される点はやはり申込者の属性です。属性次第で担保評価を大きく上回る融資額が可能となったり、金利の優遇幅も大きくなります。ただ一般の投資家より資産家や企業への融資を重視する傾向があります。現状は相当な高属性でないと相手にしてもらえないことが多いです。投資が対象外となるわけではありませんが、審査の難易度は高いと考えたほうが良いでしょう。

地方銀行

　地方銀行はその名の通り地元に根ざす金融機関です。来店時の親切丁寧な対応など、サービス面が高評価です。対象とするエリアが地方銀行ごとに異なるため融資を受けられる方が限られます。投資する物件があるエリアや自分が住んでいる地域によって、選択できる地方銀行が変わる点を覚えておきましょう。また、地元企業の従業者や地元の案件の場合、属性や担保評価など都市銀行以上の評価が得られる場合があります。ただ、都市銀行と比較すると若干金利が高いのがデメリットです。

信託銀行

　信託銀行は通常の金融業務以外に人の財産を預かって運用し、得られた利益を還元する信託業務を行う銀行のため、相続対策や資産運用の相談案件や複数の不動産を所有する地主や収益ビルオーナーの融資に対しては信託銀行ならではの力を発揮します。審査に関してはやはり属性重視で要件が合えば融資内容も好条件となります。

信用金庫

　信用金庫は会員の出資による協同組織の非営利法人であり、地域の会員や利用者の利益が最優先されますが、銀行では取り扱いが難しい中小企業の経営者、自営業者の案件にも柔軟に対応してくれます。

信用組合

　信用組合も組合員の出資による協同組織の非営利法人ですが、信用金庫とは違い原則、組合員を対象とした業務となります。そのため、組合員である中小企業や個人事業者の場合は、ほかの金融機関で難しいと判断される案件でも柔軟に対応してくれるという特徴を持ちます。

ノンバンク

　ノンバンクは預金業務を行う銀行ではなく、融資業務のみを専門で行う企業です。特徴としては他の金融機関と比較して金利が高いことが挙げられます。ただ、審査で最も重視する点が担保にあるため過少申告の自営業者、過去に延滞履歴のある人など他の金融機関ではまず審査対象外とされるような案件でも担保次第では受け付けてくれることがあります。

ネット銀行

　支店や店舗を持たず業務のほとんどをインターネット上で行う銀行で、今の時代を象徴する新しい形態の銀行です。ネット銀行の一番の特徴はなんといっても金利の低さにあります。一方で、担当者と直接面談を行う機会がなく、投資への意欲や人柄では判断できないため、審査の難易度は高く設定されています。また、複雑な事務手続きをすべてネットと郵送で行うため追加書類の対応や審査に時間がかかったり、非承認の内容も機械的に増えるため、複雑な案件には不向きです。不動産取引においてもネット銀行の場合はローン特約を認めないという不動産業者も多いので注意が必要です。

モーゲージバンク

　モーゲージバンクとは住宅ローンを専門に取り扱う金融機関です。住宅ローンを証券化して調達した資金を用いて貸出を行っています。利用者が給与所得者で既存借入れもなく、案件としての個別事情など、特段の説明を要しない案件であれば計画的に手続きを進められます。

労働金庫・JAバンク

　労働金庫は労働組合や生活協同組合の組合員、JAバンクは農業従事者の組合員で融資の申し込み要件を満たせば審査はゆるく、好条件で利用することが可能です。共通する特徴は組合員の融資に強いという点です。