日常生活ではあまり聞きなじみのない「競売物件」。
ここでは、競売物件とは何か?、競売物件のメリット・デメリット、競売物件は不動産投資に使えるのか?
について説明していきます。
競売物件とは
競売物件とは、債務不履行により、差し押さえをされ、裁判所が競売にかけた物件の事です。
物件の種類は様々で、戸建やマンション等の住居系や、事務所やビル等の商業系も含まれます。
債権者から申し込みをうけた裁判所は競売の公告を行い、その後一定期間で入札が行われます。
個人・業者に関係なく平等な条件下で行われるため、一般の方にも優良物件を購入するチャンスがあります。
そして、最高価格で落札した人が、物件の新しい所有者となります。
競売物件のメリット
1.相場よりも安く物件を購入できる
競売物件の最大のメリットと言っていいと思います。
市場価格の6~8割程度とされていて、市場ではほとんど売りに出ない優良物件がでることもあります。
もちろん、すべての競売物件が相場よりも安いとは限りませんが、高利回りを狙ってみたいという人は、競売物件を見てみる価値があると思います。
2.じっくり検討できる
一般の市場では、調査と買付けのスピードが重要で、基本的に早い者勝ちなので、購入の判断に時間がかかってしまうとすでに無くなってしまっているということが往々にしてあります。
しかし、競売の場合では、物件情報が公開されている期間や、入札の期間等のスケジュールが決まっているので、早い者勝ちではありません。
告知されてから入札まで約4週間あるので、その間にじっくりと検討できます。
3.所有権移転は確実
通常の売買取引の場合、考えたくはありませんが、中には詐欺のような行為で所有権移転登記ができない場合がありますが、
競売の場合は、裁判所の職権により、落札人に所有権移転登記がなされます。
ですので、確実に移転登記がなされます。
競売物件のデメリット
1.物件情報の事前把握が難しい
基本的に、競売物件は内見が出来ない事が多いです。
裁判所から物件明細書・現況調査報告書・評価書等の資料(3点セット)は提供されますが、資料はあくまでも資料。
競売広告や資料から得られるイメージと、実際に物件を見てみた印象に大きくギャップが生じることも珍しくありません。
仮に内見ができる場合でも、短い入札期間の中で、事前調査・周辺環境のチェック・物件そのもののチェックをしなくてはいけないのは、忙しい方にとっては中々大変といえるでしょう。
2.損害賠償や契約解除の追求ができない、全て自己責任
競売物件には、持ち主・売主がいません。
(※裁判所はあくまで手続きを主宰する立場にあり、責任は一切負わず、購入者を保護する法律もありません。)
そのため、損害賠償や契約解除の追求先がないことになります。
持ち主・売主がいないということは、購入後の物件に大きな欠陥が見つかった場合に生じる、契約不適合責任を負う人がいないということ。
例えば落札後に、部屋の中を見てみたら、現状調査報告書よりひどい状況になっているケースがあり、修繕に大幅な費用がかかってしまったり、占有者なしと書かれていても、いざ落札後に部屋に行くと占有者がいたなどという状況があってもすべて購入した人が処理しないといけません。
全て自己負担になってしまうのです。
3.代金納付は現金一括
競売物件を落札したら、裁判所が指定する日時までに落札金額を現金で振り込まないといけません。
金融機関から融資を受けることも可能になってきていますが、一般の流通物件と比較してハードルは高いといえます。
融資が使えない場合、現実的に残る選択肢は、現金一括購入となり、融資を使って一般物件を購入するよりも多額の初期費用を準備する必要があります。
競売物件は不動産投資に使えるのか?
競売物件を不動産投資に使ってはいけないという決まりはありません。
賢く使えば、競売物件は良い投資商品として成り立つでしょう。
とはいえ競売物件は、安易に手を出すとトラブルに巻き込まれる可能性が高い、難しい投資商品でもあります。
特に、初心者には、あまりお勧めできる方法ではありません。
競売物件の不動産投資で起こりがちなトラブル
競売物件は、債務不履行による差し押さえから始まり、もとの占有者・所有者が明け渡しに応じない場合があります。
こうした場合、申立てを受けた裁判所が強制引き渡し命令を出しますが、時間がかかります。
もしも競売物件の所有者が、裁判所の命令に異議申し立てや控訴をした場合は、半年以上も話がこじれることがあります。
また、競売物件に誰かが住んでいる場合の立ち退き交渉も、落札者が行わなければならず大変です。
競売物件の売買を代行するサービスがあるくらいです。
まとめ
競売物件は一般の市場価格よりも安く手に入れる事ができる可能性があり、とても魅力的ではありますが、それに伴い注意点やデメリットがあります。
その点を良く理解し、且つトラブルに対処できる能力や時間が無いことには手を出さない事をオススメします。