失敗するサラリーマン投資家
サラリーマンの間で不動産投資は過熱の一途を辿っている中、騙されて失敗する投資家も増えています。その代表的な例を3つ紹介します。
① 個人名義で限度額いっぱいの融資を受ける
高年収のサラリーマンが融資を受けやすい銀行を使い、個人名義で大型の1棟物件を複数棟購入する例です。
法人名義で使える金融機関があるにもかかわらず、「まずは個人名義で実績を作りましょう」「融資がついた順で購入できるので、融資結果が早く出るこの金融機関しか使えません」などと、業者から言われて個人名義で購入しまうケースが増えています。
限度額に近いようなオーバーローンを組み、個人の属性を使い切ってしまうため、投資家の目標値がいくら高くても、融資が通らずに買い進められないという事態に陥ってしまう可能性があります。また、融資条件によっては結果的に③のようになるリスクもあります。
② 新築アパートを高値掴みする
今、人気を集めている不動産投資に「新築木造アパート」があります。決して新築アパートが失敗ということではありません。新築アパートを「相場より高く」購入してしまうことが失敗なのです。
とある不動産コンサルタントは「土地から探して建物を建てれば、安く購入できます」と謳って、新築アパートを販売しています。「建売アパートは、業者の利益が乗っているから損だ」というイメージがあることから、「土地から購入すれば業者の利益分を抜くことができる」という論法です。
しかし、建て売りであっても土地から販売するアパートであっても、当然ながら業者の利益は販売価格に上乗せされます。実際に物件の購入内訳を見てみると、土地の値段は適正でも、建築費がかなり高くなっていることがあります。
③ 高金利の融資を受けて低利回りの物件を購入
典型的なのは、低利回りの収益物件を高金利の融資を受けて購入した投資家です。購入時点で収益が少ないことに気づいても、仲介した不動産業者に「数年後に借り換えをすれば、金利が下がるので大丈夫ですよ」などと、言いくるめられてしまうのです。
しかし、「数年後にもし借り換えができなかった場合はどうなるのか」を考えると、リスクが高い投資といえます。業者が借り換えを100%保証してくれるわけではありませんし、金融機関がある日突然、その融資方針を変えてしまうことはよくあるからです。そもそも収支が赤字であれば、自己資本をさらに投入しないと借換えは難しいものです。
また、所有物件の維持コストも重要です。固定資産税や管理費、修繕費といった経費をしっかり把握せず、満室であってもさほどキャッシュフローが残らない、数室空室になればキャッシュフローが赤字となってしまいます。実際、毎月のローン支払いを自分のサラリーで補てんしているサラリーマン投資家もいます。
収益性が高ければ、たとえ金利の高い銀行からフルローンで借りていても、少々収支計算が甘くても、破綻する可能性が少ないものです。しかし、物件価格が上昇傾向にある今の市況では、「破綻リスクが高まっている」と言わざるを得ません。